NPO法人莢・さや まめっこひろば 〜ママとパパの笑顔を支える乳幼児一時預かり所〜

横浜市鶴見区にあるNPO法人莢・さや「まめっこひろば」。
取材を通して分かったのは、子どもを安心して預けられる場所であると同時に、
ママやパパの心を支えてくれる地域の居場所であるということでした。
ママ・パパの笑顔が子どもの笑顔につながる
「子どもを預けるなんて申し訳ないかな?」と悩む保護者も多いかもしれません。
けれど、まめっこひろばが大切にしているのは、
ママやパパが元気で笑顔でいることこそが、子どもの安心につながるという考え方です。
「少しでいいから一人になりたい」
「美容院に行きたい」
「昼寝をしたい」
「今日は限界だから助けてほしい」
——そんな気持ちで利用できるのが、まめっこひろば。
「仕事のためじゃないと預けられない」という制約はなく、
むしろ「助けて!今!」という方に是非利用してほしい。
「預けてごめんね」ではなく、「遊んで待っていてくれてありがとう」と言える関係づくりを目指しています。

30年以上続く活動の歩み
まめっこひろばの原点は、30年前にスタートした親子サークル。
サークル活動の中で、その時々のニーズに合わせて形を変えながら続いてきました。
代表の押山さんにお話を伺いました。
30年前は今のように子育て支援、子育て拠点がないと言っても過言ではない時代でした。
育児仲間を探すために公園デビューや地区センターの遊び場などでママ友を作り
一緒に子育てのアレコレを探していました。
そんな時、ママ友と始めた育児サークルがこの活動の原点でもあります。
2004年には「自宅での預かり保育」という形で新たにスタート。
1年間は自宅でお子さんを預かり、その後は近隣の私立学校が考え方に共感し、
校内で活動を始めることができました。
当時はまだ「お仕事をしていないママのお子さんを預かる」という仕組みがほとんど理解されていない時代。
「大好きな子どもと一緒に過ごせ、昼寝もできる環境なのに、なぜ預けたいの?」という声も多かったそうです。
それでも「育児は大変、少しでもママやパパの助けになりたい」という思いで活動を続けてきました。
そうしているうちに、国の方でも「この活動は必要なのでは」と注目され、
2年にわたって国会で審議されることに。
その過程で、調査研究室の研究者が代表者の話を聞きに訪れ、実際の声が国に届けられました。
最終的に、日本でまず1カ所だけモデル事業として助成金を出し、
一日預かり事業を試してみる事になり、横浜市が選ばれたのです。
その流れの中で、市へのアプローチの回数を経て、まめっこひろばはいち早く制度に組み込まれ、
全国でも先駆けとなる施設のひとつとして歩みを続けてきました。

何年かは、私学の施設内を借りて運営していましたが、撤去しなくてはいけなくなり
スタッフ自身がNPO法人を設立し活動を継続。
今も変わらず、地域の子育てを支え続けています。
スタッフは全員が母親、そして元利用者
まめっこひろばの大きな特徴は、スタッフ全員が母親であり、元利用者が多いということです。
この子育て支援研修の修了者ということになっていて、
必ず保育者がこの研修終了者じゃないとスタッフになれないということになっています。
そして、まめっこひろばの場合は、保育者の中に看護師、
幼稚園教諭資格保持者、保育士と幼稚園教諭、両方とも資格を持っている人もいます。
保育士と支援員はまめっこひろばを運営する上でどの時間帯も必ず保育士が
半数以上いなければいけないことになっています。
そして、一番の特徴は、全員が母親だということです。
ここを利用して、自分が助けられた経験、子どもが楽しく通っていたこと、
利用してよかったと思っている人たちが、
今スタッフになっているそうです。
「自分もここで助けてもらったから、今度は恩返しがしたい」
「ここを訪れるママたちの力になりたい」
そんな思いを胸に手を差し伸べた人たちが集まり、保育支援員として関わっています。
だからこそ長く働いているスタッフも多く、利用者にとって安心できる存在になっているのです。

まめっこひろばではママたちの働き方にも目を向け、
幼稚園に子どもを通わせながら空き時間で働けるシフトなど、
スタッフ自身の子育ても大切にした働き方が工夫されているのも印象的でした。
必要としている人に届いている場所
利用者は近所のご家庭だけでなく、港北区や鶴見区尻手など、少し距離のある場所からも
「ここを利用したい」と訪れる方が少なくありません。
それだけ「この場所が必要だ」と思う人に届いている証拠です。

手作りのおやつとアレルギー対応
おやつはパルシステムの食材を使ったスタッフの手作り。
- ご飯のおにぎり(きな粉やあんこをまぶしたおはぎ風)
- ふかし芋やフライドポテト
- ホットケーキや蒸しパン
など、栄養を考えた補食として提供されています。

また、アレルギーへの配慮も徹底。
小麦アレルギーのお子さんが一人でもいれば、その日は全員が小麦不使用のおやつを提供。
「みんなが同じものを一緒に楽しむ」ことを大切にしているのが、まめっこひろばらしい温かさです。
安全への取り組み
- 毎月1回の避難訓練(地震・火災を想定)
- 月1回の身長・体重測定
- 散歩や公園では散歩車を利用し、非常時には避難車としても活用
「自分の命より大切な子どもを預けるのだから、安心してもらえる体制を整える」
スタッフの言葉に、強い責任感と愛情を感じました。
子どもたちにとって“第二のお家”
まめっこひろばは、子どもたちにとって「おばあちゃん家に遊びに来るような、第二のお家」でありたいと願っています。
子どもたちは好きな遊びを楽しみ、のんびりと自分らしく過ごす。
ママやパパはその間に必要な時間を過ごし、笑顔で子どもを迎えられる。

「あなたはあなたのままでいい」
そのままの自分を受け入れてくれる場所がある。
それを知るだけでも、育児に向き合う心がふっと軽くなるのではないでしょうか。
利用案内
予約は横浜市のシステムから。毎月1日と16日に受付が始まります。
キャンセル待ちから利用できることも多いため、気になる方はぜひ申し込みを。
取材を終えて
私自身も3人の子どもの母親です。
育児は楽しいし、我が子は可愛い。
みなさんそうですよね。
でも毎日育児をしていく中で、自分自身のことだったり、身体のこと、心のこと、家族のこと、仕事のことなど
人には様々な事が起こり、他の人には見えない部分の悩みや辛さがあることもあります。
育児がこんなに大変だとは思わなかった。
頼りたくても身近に頼れる人がいない。頼りたいのに素直に「助けて!」と言えない。
可愛いはずの我が子、大好きな我が子なのに•••今は優しくなれない。
母親もひとりの人間です、時には感情で子どもを怒ってしまったり、家族に当たったりしてしまうこともあるでしょう。
私はどの思いも経験した事があります。
そんな時に、まめっこひろばのような場所を知っていたら
自分の気持ちの中に、少しだけでも心の隙間ができたのではないかと感じました。
母親だから育児が当たり前、出来て当たり前ではないんです。
女性は子どもを出産して、初めて母親になるんです。
2人、3人のお子さんがいる母親も子ども一人ひとり、みんな違うのです。
誰ひとりとして同じ育児はないと感じています。
だからこそ、子どもも母親、父親も安心して活用できるこの環境が必要だという事。
それを伝えたいと思いました。
でも、この環境があることは、もちろん当たり前ではないという事も知って欲しい。
今こうして、まめっこひろばが運営されているのは、育児を経験したからこそわかるその想いが
今のママやパパに寄り添い 作られているということ。
未来を担う 可愛い子どもたちが元気にすくすくと育ち
ママやパパが、自分を大切にし笑顔でいられること。
それが今の時代、今の子育てに必要だということ。
30年以上の歴史が、多くの親子の想いを支え
ママやパパの心を支え、子どもたちがのびのびと自分らしく過ごせる
“地域の必要なかけがえのない場所”でした。
取材のご協力ありがとうございました。
寺尾ナビでは、獅子ヶ谷・馬場・寺尾の情報を求めています。
取材希望の事業の皆様の問い合わせもお待ちしております。
NPO法人莢・さや まめっこひろば
住所:〒神奈川県横浜市鶴見区北寺尾6丁目30−12
電話: 0455823553 (8:00−17:30)
定休日:土・日・祝日(年末年始)
利用案内
- 対象:横浜市在住の生後57日〜就学前まで
- 時間:平日7:30〜18:30(土日祝・年末年始休み)
- 料金:1時間300円
- 利用方法:定期利用(毎週同じ時間帯)/単発利用(必要な日のみ)
- 予約は横浜市のシステムから。毎月1日と16日に受付が始まります。
キャンセル待ちから利用できることも多いため、気になる方はぜひ申し込みを。


この記事書いた人
あゆみ
横浜市在住
3人の男の子ママ
美味しいもの、楽しい事、お出かけが大好き。
横浜の良さ、この街の良さをたくさんの人にお伝えしていきたいです。